イーサリアムはビットコインに次いで時価総額2位になっていることが多いけど、いつかビットコインを超える日ってくるのかしら?
イーサリアムはビットコインの時価総額を超える?それぞれの将来性を解説

モナちゃん
サトシくん
えー来ないんじゃないの?やっぱりビットコインの強さは不動でしょ!
カネット
今後どうなるかは誰にもわからないけど、イーサリアムはビットコインにない可能性をたくさん秘めているのは確かダヨ。今日はそれぞれの将来性について詳しく見てイコウカ!
イーサリアムとビットコインは日本の仮想通貨取引所でもほぼ扱っているメジャーな銘柄なので、どちらに投資すべきなのか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
一部では「イーサリアムはビットコインの時価総額を超える」と力説する人もいますが、本当にそうなる可能性があるのか、それぞれの仮想通貨と、その将来性について解説していきます。
目 次
イーサリアムとビットコインの値動き・時価総額を比較
まず、2018年6月中旬から9月中旬にかけてのイーサリアムとビットコインの値動きと、それぞれの時価総額がどのぐらいなのかを比較してみましょう。
ビットコインの値動き
低調と言われて久しいビットコインの相場ですが、2017年末から2018年初めが異常だっただけで、実際には上下を繰り返しながらある程度の価格を維持しています。
7月中旬までは1BTC=70万円前後で上下を繰り返していましたが、下旬にかけて価格が上昇し、ピーク時には90万円を超えるまでになりました。
8月上旬は下落して70万円前後になりましたが、下旬から9月上旬にかけて再び上昇して80万円オーバーとなっています。
9月6日ごろに大幅下落したものの、9月中旬現在でも70万円前後の価格をキープしています。70万円が底値のような状態ですね。
イーサリアムの値動き
一方、イーサリアムの値動きの方はあまり芳しいとは言えません。グラフを見ると、2018年6月中旬の価格を上回ったことがなく、ずっと下降トレンドが続いているからです。
このグラフでは6月中旬に6万円に迫ったところがピークに見えますが、実際は5月に8万円台をつけてからずっと、下降局面にあるのです。
それでも、7月中は5万円前後をウロウロしていましたが、8月に入って下落し、中旬から9月初めにかけては3万円前後になってしまいます。
9月5、6の両日にさらに下落して2万円台となり、9月中旬現在はそのまま2万円台をウロウロしています。5月のピーク時のほぼ4分の1です。
時価総額を比較
どちらも世界的にメジャーな仮想通貨だけあって、時価総額はビットコインが1位、イーサリアムが2位です。ただ、問題はその中身です。
2018年9月16日現在のビットコインの時価総額が約12.6兆円であるのに対し、イーサリアムは約2.5兆円で、ほぼ5分の1にすぎません。3位のリップルとの差の方が小さいぐらいです。
2位といっても、1位から大きく引き離された2位というわけで、時価総額だけならライバルと呼ぶのもおこがましい状態です。
最近の値動きの元気のなさや、時価総額の差を見ると、本当にイーサリアムがビットコインを抜く日が来るのだろうかとかなり懐疑的になってしまいます。
サトシくん
1位と2位の差がすごく広いって考えると、やっぱりビットコインが不動なんじゃない?
カネット
時価総額だけを見るとそうダネ。ただ重要なのは、ビットコインとイーサリアムでは特徴が大きく違うってコト。ここをしっかり理解しておいて欲しいンダ。
イーサリアムとビットコインの特徴を比較
イーサリアムとビットコインには下の表のような違いがあります。それぞれの特徴について、比較していきましょう。
イーサリアム(ETH) | ビットコイン(BTC) | |
---|---|---|
開発目的 | 開発用プラットフォーム | 決済用通貨 |
スマートコントラクト | あり | なし |
考案者 | ヴィタック・ブテリン | サトシ・ナカモト |
公開年月 | 2014年7月 | 2009年1月 |
開発団体 | ETH DEV | ビットコインコア |
ブロック作成時間 | 約12秒 | 約10分 |
マイニング方式 | POW(POSに移行予定) | POW |
発行上限 | なし | 2,100万BTC |
イーサリアムとビットコインの最大の違いは開発目的
イーサリアムとビットコインはそもそも、開発目的が違っています。ビットコインは各国の中央銀行をはじめとする中央集権的組織に縛られない、決済用の通貨となることです。
これに対してイーサリアムは、ソフトウエアの開発プラットフォームとなることが目的です。実際にそれが形になっているのが、さまざまなDapps(分散型アプリケーション)などです。
ビットコインは決済用通貨
ビットコインは中央管理者が存在しない、非中央集権的な決済用通貨となることを目指して開発された仮想通貨です。日本円や米ドルなどと同じ「お金」としての用途が主目的です。
法定通貨の発行はその国の中央銀行などによって行われますが、ジンバブエや第二次世界大戦前のドイツのように、誤った政策によってハイパーインフレを招いたケースもあります。
中央集権的組織のミスによって生じ問題を防ぐため、ビットコインは非中央集権的なシステムを取っています。あるユーザーが間違った方向に行こうとしても、別のユーザーがストップをかけられるのです。
イーサリアムはサービス開発用プラットフォーム
これに対してイーサリアムの目的は、Dapps(分散型アプリケーション)というソフトウエアの開発プラットフォームになることです。
店頭販売しているアプリケーションでも、ネット上のシェアウエアでも、開発者(もしくはその集団)が中央集権的な力を持っており、ユーザーが開発に関わることはありません。
しかし、Dappsではそのような中央集権的な組織が存在しておらず、改善に当たってはユーザーの合意が必要となってきます。ユーザーがソフト開発に参加できる仕組みなのです。
サトシくん
「イーサリアムはサービスを開発するプラットフォーム」…ってつまりはどういうこと?
カネット
ビットコインはあくまで決済のためのモノ。でも、イーサリアムは様々なサービスを開発する土台のシステムとして存在するものナンダ。だから、アイディア次第で便利なサービスを生み出すことができるってワケ。
イーサリアムとビットコインの機能の違い
イーサリアムとビットコインにはさまざまな機能の違いがありますが、その代表的なものといえるのが、スマートコントラクトの実装の有無です。
スマートコントラクト実装の有無
お金と引き換えにさまざまなものが入手できるなど、契約の中には決済によって履行されるものがあります。問題は、決済を行ったにもかかわらず、契約が履行されないケースがあることです。
スマートコントラクトは、この契約履行を自動化するものです。自動販売機のように、決まったお金を払えば商品が自動的に入手できる仕組みになっているわけです。
イーサリアムのDappsでは、スマートコントラクトが活用されています。例えば、イーサリアムを払えばゲームの課金アイテムを自動的に入手できるのは、スマートコントラクトによるものです。
なお、スマートコントラクトについて詳しくは「仮想通貨のスマートコントラクトとは?仕組みや特徴、実用例を徹底解説!」で説明しています。
スマートコントラクトが実装された経緯
見知らぬ人間から、「一定のお金を払えば物品を販売する」と言われても、すぐに信用することはないでしょう。そのままお金を持ち逃げされるリスクがあるためです。
非中央集権という状態では、このような信用できない相手と取引する可能性もあります。相手が信用出来ないのに金銭のやりとりを行うことは、なかなかできるものではありません。
ところが、スマートコントラクトならばたとえ相手が信用できなくても、イーサリアムを払えば物品が自動的に入手できるのです。これならばどのような相手とでも取引可能です。
非中央集権の仮想通貨の場合、相手の身元が保証されているわけではありません。スムーズに取引を行うためには、スマートコントラクトの実装が必要だったということでしょう。
イーサリアムとビットコインでできること
スマートコントラクトの実装の有無によって、イーサリアムとビットコインではできることが変わってきます。実装されていないビットコインの場合、取引相手の信頼性は自分で見極めなければなりません。
一方、イーサリアムの場合は取引相手が必ずしも信頼できない場合でも、スマートコントラクトで契約を自動化していれば支払いに対する物品は必ず得られます。
ビットコインで想定されている物品売買は、商店という第三者機関を通します。一方イーサリアムが想定しているプログラムの開発は第三者を介さないため、スマートコントラクトが必要になるのです。
モナちゃん
スマートコントラクトがあれば、今まで人を介して行っていた契約が自動化されるってわけなのね。となると、将来的になくなるかもしれない仕事も出てくるってことかしら。
サトシくん
その一端を担っているのがイーサリアムって考えると、確かにスゴいね!
カネット
イーサリアムとビットコインでは、そもそもの開発コンセプトが違うわけだけど、ブロックチェーンの仕組みも違うヨ。
ブロックチェーンの仕組みの違い
イーサリアムのブロックチェーンは、ビットコインよりブロック生成時間が短くなっていますが、短さゆえの問題点も生じています。
このため、イーサリアムはマイニングにおいてビットコインとは違ったルールを採用し、問題解決を図っているのです。
ブロック生成時間
決済や承認が行われると、ブロックチェーンの最後尾に新たなブロックが生成されます。ビットコインはこのブロック生成に10分程度必要で、これが送金遅れの原因のひとつだとされています。
イーサリアムは後発だけあって、ブロック生成時間が12秒程度と短くなっています。これで送金スピードが速くなって問題解決と思いきや、別の問題が発生する原因にもなっています。
イーサリアムの問題点
イーサリアムの問題点としては、不採用のブロックが多く生じてしまうことと、マイニングが特定の場所に集中してしまう可能性があることが挙げられます。
不採用のブロックが多く発生する
ビットコインもイーサリアムも非中央集権的な仮想通貨ということもあり、複数のマシンで同じマイニングが成功してしまうというケースがあります。
ビットコインはマイニング時間が長いので、こうしたケースは必ずしも多くありません。ところがイーサリアムはマイニング時間が短いので、同時成功が頻発してしまうのです。
こういう場合、どちらかを不採用にしてしまわないとならないのですが、イーサリアムはこの不採用になるマイニングが多数発生することになってしまうのです。
マイニング支配の可能性
マイニングを行っているマシンには性能差があり、性能の高いマシンはちょっとだけ早くマイニングを終えられるため、次のマイニングに取り掛かりやすくなります。
ビットコインはマイニングの時間が長いため、マシンの性能差によってマイニングの量に致命的な差は出ません。せいぜい誤差の範囲と言えるレベルでしょう。
ところがイーサリアムはマイニングの時間が短いので、このわずかな差が大きな差を生みかねないのです。結果として特定のマシンにマイニングが集中するということになりかねません。
問題解決のためのマイニングルール
この問題を解決するために、イーサリアムはビットコインとは違ったマイニングルールを定めています。それは、不採用になったマイニングにも、一定の報酬を与えるというものです。
ビットコインは不採用になったマイニングには、報酬を与えません。マイニング時間の長さゆえに、特定のマシンによる支配が起きにくいためです。
イーサリアムは上述のように、何の対策も取らなければマイニングが特定のマシンに支配される可能性があるので、不採用分についても切り捨てるわけにはいかないというわけですね。
カネット
ビットコインのブロックチェーンが元祖で、それをもとにイーサリアムが開発されてイル。だから、ビットコインの欠点を補いながら独自の進化を遂げているって感じがあるヨネ。
モナちゃん
オリジナルのビットコインならではの長所もあるし、イーサリアムならではの良いところもある。どちらも一長一短ってわけね。
イーサリアムとビットコインの今後
ビットコインの将来は、決済手段としてより多く使われるようになるかどうかにかかっています。一方、イーサリアムはまだ発展途上で、今後のアップデートなどが将来性に関係してきます。
ビットコイン決済の拡大
ビットコインは決済手段として開発されたものですから、決済可能な店舗が今後、増えていくかどうかが将来性につながってきます。
「ビットコイン日本語情報サイト」によると、ビットコイン決済が可能なのは2018年8月10日現在、通信販売73件、実店舗259件で、クレジットカードなどに遠く及びません。
裏返せば、これはビットコインにはまだ成長の余地がたくさん残っているということでもあります。順調に決済可能な店舗が増えていくことに期待しましょう。
イーサリアムはまだまだ発展途上
一方、イーサリアムはまだ発展途上の仮想通貨です。4段階のアップデートのうち完了したのは2段階半ぐらいで、POSへのアルゴリズム移行などはまだです。
また、イーサリアムベースの仮想通貨によるICOの増加や、さまざまな分野での利用も、イーサリアムの将来性に関係してくるでしょう。
4段階アップデート
イーサリアムは4段階のアップデートが行われる予定になっており、既に2段階目までは完了しています。3段階目は前半と後半に分けて行われるのですが、2018年9月時点では前半のみ完了です。
後半については2018年中に行われる予定だとされていますが、POS移行を含む4段階目については実施される時期は全く分かっていません。
これはThe DAO事件を収拾するために行われたイーサリアムのハードフォークに抵抗が強く、イーサリアムクラシックとの分裂を招いてしまったことが影響しているとみられます。
イーサリアムのアップデートはハードフォークによって行われる予定になっているため、同様の反発が出る可能性が否定出来ないのです。
ただ、3段階目前半のアップデートが行われたときには、イーサリアムの価格は上昇しています。今後もアップデートが価格上昇につながる可能性はあるでしょう。
ICOの増加
新たな仮想通貨を公開するICO(イニシャル・コイン・オファリング)の増加の背景には、イーサリアムベースの仮想通貨規格ERC20が関係しています。
一から仮想通貨を作らなくても、ERC20規格にのっとればイーサリアムベースの仮想通貨を作れるため、参入障壁が低くなったのです。
それに、イーサリアムはブロックチェーン上に分散型取引所(DEX)が作られており、イーサリアムベースの仮想通貨取引を国などの規制を受けずに行えますから、流動性アップにつながります。
ただ、ICOの増加は詐欺まがいの案件が増えることにもつながり、ICOへのイメージ悪化につながりかねません。リップル陣営のように、ICOを批判する勢力があるのも不安材料です。
さまざまな分野での利用
ビットコインが決済に特化しているのに対し、イーサリアムはアプリ開発のプラットフォームになることを目指していますので、多様な分野での利用が期待できます。
今のところクリプトキティーズのようなゲームが注目されがちですが、DEXの中にDappsによって作られたものがあるように、より多くの分野で活用が見込めるものなのです。今後に注目しましょう。
将来性に期待できる通貨に投資しよう
いずれにしても、イーサリアムとビットコインは仮想通貨であることぐらいしか共通点がない、かなり毛色の違ったものだと考えていいでしょう。
目指すものが違う以上、どちらに将来性があるかは何とも言えないところです。将来性があると、あなたが判断した方に投資すべきだというのが、現時点での結論になりそうです。
サトシくん
イーサリアムはビットコインから派生したものだから、ビットコインに勝てるはずはないって思ってたけど、この二つは全然違う仮想通貨なんだね。
カネット
そうだネ。仮想通貨には時価総額というひとつの基準があるから同じように見えてしまいがちだけど、機能はそれぞれ違うから、本来は比べること自体が難しいんダ。
モナちゃん
通貨ごとの特徴と将来性を考えて、自分がいいと思ったものに投資するのが一番なのね!
イーサリアムとビットコインは目的と利用分野が違う!(まとめ)
イーサリアムとビットコインでは目的とするところも、利用分野も大きく違います。同じ仮想通貨であっても、最終的な形は大きく違ったものになるでしょう。
現時点ではビットコイン決済が今以上にメジャーなものになっていくか、イーサリアムのアップデートがいつ完了するかが焦点になります。注目していきましょう。