銀行員って、金融取引に有利な情報を掴むことがあるから投資を禁止されてるって言うけれど、仮想通貨投資もダメなのかしら?
銀行員でも仮想通貨投資はできるの?銀行員の投資が厳しく規制されている理由とは

モナちゃん
カネット
インサイダー取引ってやつだネ。確かに銀行員は株式投資やFXに対して制限がかかっているけれど、実は仮想通貨投資は禁止されていないんダ!
サトシくん
へぇ~。禁止されているものだと思ってたけど意外だね?でも仮想通貨投資も金融取引の一種なのに、なんで禁止されてないんだろう?
銀行員はお金を扱う仕事であることから、株式やFX(外国為替証拠金取引)などの金融投資について厳しく規制されていますが、仮想通貨投資はできるのでしょうか。
仮想通貨投資は株式やFXと同じように、仮想通貨取引所で売買取引を行うことで売却益を狙うことができます。
しかし、仮想通貨は法定通貨とは異なる性質を持ち、金融商品取引法上の「有価証券」にも該当しないことから、銀行員でも投資できるかどうかは判断が難しいかもしれません。
そこで今回は、銀行員でも仮想通貨投資はできるのか、そして、銀行員の投資が厳しく規制されている理由についても詳しくお伝えします。
目 次
銀行員でも仮想通貨投資はできるの?
まずは、銀行員でも仮想通貨投資はできるのか、そして、銀行員の金融投資の規制について確認していきましょう。
銀行員でも仮想通貨投資は可能
銀行員の金融投資には厳しい規制がありますが、仮想通貨投資はとくに規制されておらず、銀行員でも仮想通貨の売買は可能です。
仮想通貨投資を行うには、仮想通貨取引所でアカウントを作成する必要がありますが、職業欄に「銀行員」と入力しても、今のところは問題なく作成できます。
銀行員でも仮想通貨投資ができるのは、銀行が仮想通貨を取り扱っておらず、インサイダー取引などの犯罪につながる可能性が低いからだと考えられます。
スウェーデンのノルデア銀行(NDA.ST)は22日、全行員約3万1000人に対し、ハイリスクを理由にビットコインなどの仮想通貨取引を2月28日から禁止する方針を明らかにした。
ただし、海外の金融機関の中には、上記のように行員に仮想通貨取引を禁止する方針を示しているところもあり、今後は規制される可能性もあるでしょう。
銀行員の金融投資は厳しく規制されている
金融商品取引法等により、金融機関(証券・銀行・生保・損保等)業務に従事している場合は、 投機的利益の追求を目的として有価証券の売買その他の取引等をすることを禁止します。
金融商品取引法や日本証券業協会規則などでは、銀行員が投機的利益の追求を目的として有価証券の売買を行うことを禁止しています。
証券口座やFX口座を開設しようとしても、職業欄に銀行員と記入すると口座開設を断られることが多く、たとえ開設できても取引内容が制限されるのです。
銀行員はその立場上、一般の人に比べて金融商品に関する情報を得やすく、業務を通じて得た情報をもとに投資を行うと、インサイダー取引になってしまいます。
そのため、銀行員ができる金融投資は限られており、投資を行う際は法律に抵触しないかを慎重に判断する必要があるのです。
銀行では行内規定で行員の投資について定めており、行員に対してFXや信用取引などを行っていないかを定期的にチェックしています。
仮想通貨は金融商品取引法の適用対象外
引用元:金融庁ウェブサイト
仮想通貨は2017年4月に施行された改正資金決済法において、次の性質を持つ財産的価値だと定義されました。
- 代金の支払い等に使用でき、法定通貨と交換できる
- 電子的に記録され、移転できる
- 法定通貨、法定通貨建ての資産ではない
しかし、仮想通貨は金融商品取引法上の「有価証券」には含まれておらず、株式やFXとは異なり、金融商品取引法の適用対象外となっています。
先ほど触れたように、銀行員の金融投資は金融商品取引法などで厳しく規制されていますが、仮想通貨は有価証券ではないため、銀行員でも仮想通貨に投資できるのです。
仮想通貨投資は銀行員ができる数少ない投資のひとつであり、リスクと取って積極的に運用したい銀行員の方に向いているでしょう。
モナちゃん
そもそも仮想通貨投資自体が、既存の投資とは少し違う枠組みにいるのね。今の所、銀行員の仮想通貨投資を取り締まる規制も法律もないみたいだし
サトシくん
つまり、FXや株式投資だとインサイダーで捕まっちゃう可能性があるけど、仮想通貨投資なら何も問題ないんだね!
銀行員の金融投資が厳しく規制されている理由
金融商品取引法では、なぜ銀行員が投機的利益の追求を目的として有価証券へ投資することを禁止しているのでしょうか。
次に、銀行員の金融投資が厳しく規制されている理由について詳しくお伝えします。
インサイダー取引防止
上場会社の関係者等が、その職務や地位により知り得た、投資者の投資判断に重大な影響を与える未公表の会社情報を利用して、自社の株式等を売買する行為は、「インサイダー取引」と呼ばれています。
銀行員の金融投資が厳しく規制されている理由のひとつが、インサイダー取引の防止です。
インサイダー取引とは、投資判断に重要な影響を与える未公表の会社情報を利用し、不正に利益を得る目的で株式等を売買することです。
銀行の顧客には上場企業も含まれており、勤務する支店の取引先が上場企業である場合は、その企業の未公表の情報を入手することは難しくありません。
企業は銀行から融資を受けるためにさまざまな書類を提出し、業績などについても細かく説明する必要があります。
そのため、企業への融資に関わる行員は、企業関係者以外は知りえない内部情報を入手できる立場にあるのです。
たとえば、取引先の上場企業の業績が急回復した情報を入手し、業績を公表する前にその企業の株式を大量に購入して公表後に売却すれば、大きな利益を得られます。
逆に業績悪化など、企業にとって悪い情報を入手した場合でも、公表前にその企業の株式を空売りし、公表後に買い戻すことで利益を得ることもできるのです。
このように、銀行員は未公表の会社情報を知り得る立場にあることから、インサイダー取引を防止するために、金融投資を行うことを厳しく規制されています。
銀行や顧客財産の保護
銀行員の金融投資が厳しく規制されているもうひとつの理由が、銀行や顧客財産の保護です。
銀行員が金融投資によって大きく損をしてしまうと、銀行や顧客財産に手を出してしまうなどの不正が起こる可能性があるのです。
やってはいけないとわかっていても、投資で損をしてお金に困っていれば、不正をする可能性を高めてしまいます。
また、銀行は不正が起こらないような体制を作っているはずですが、人がお金を動かせる仕組みである以上、不正をゼロにすることは難しいでしょう。
このように、銀行員の金融投資が厳しく規制されるのは、投資の失敗により銀行や顧客財産に手を出すことを防ぐ目的もあるのです。
カネット
インサイダー情報を知らなくても、銀行員が金融取引を行うだけでインサイダー取引とみなされる場合があるヨ!
モナちゃん
調べてみたら、銀行員のインサイダー取引って結構大きな犯罪なのね。資産没収、5年以下の懲役、500万円以下の罰金、追徴ですって。あと、所属していた銀行自体も怪しまれるわ
サトシくん
色々罰則を食らった上に銀行に残りにくくなるって……もう転職するしかないなぁ……。でも、インサイダー取引ってそれくらい重い罪になるんだね
銀行員が禁止されている投資
銀行員の金融投資が厳しく規制されていることはわかりましたが、具体的にはどのような投資が禁止されているのでしょうか。
ここでは、銀行員が禁止されている投資について確認していきましょう。
株式信用取引
信用取引とは、証券会社に保証金を差し入れ、証券会社からお金を借りて売買取引を行うことを言います。
株式信用取引は、手元資金よりも大きな金額の取引ができ、売りから取引を始めてあとで買い戻すこともできるのが特徴です。
そのため、少ない資金で大きな利益を得られる可能性があり、下落相場でも利益を得られることから利用する人が多くいるのです。
しかし、予想と異なる値動きをした場合、損失が大きくなる可能性もあり、投機的利益の追求に該当することから、銀行員が取引を行うことは禁止されています。
FX(外国為替証拠金取引)
FX(外国為替証拠金取引)とは、為替レートの価格変動を利用し、為替差益を得る目的で異なる国の通貨を交換する取引のことです。
たとえば、1ドル=100円で1ドル購入し、1ドル=120円になったときに購入した1ドルを円に戻せば、20円(120円-100円)が為替差益として利益になります。
FXも株式信用取引と同じく、少ない資金で大きな取引ができるレバレッジ取引や売りから初めて後から買い戻すことが可能です。
そのため、大きな利益が期待できる分、損失が大きくなる可能性もあり、投資よりも投機的な要素が強いため、銀行員が取引を行うことは禁止されています。
先物取引・オプション取引
先物取引とは、あらかじめ決められた日に決められた価格で売買する取引、そして、オプション取引とは、対象資産を買う権利(コールオプション)や売る権利(プットオプション)を売買する取引のことです。
先物取引やオプション取引の投資対象には、日経平均株価やTOPIXなどがあり、株式信用取引やFXと同様に、手元資金よりも大きな取引ができる、売りから取引が開始できる特徴があります。
少ない資金で大きな利益が見込める分、損失も大きくなる可能性があり、投機的な要素が強い取引でもあることから、銀行員が取引することは禁止されています。
このように、銀行員が禁止されている金融投資には、手元資金以上の取引ができる、売りから取引ができるなど、投資よりも投機に近い特徴をもつ取引であることがわかります。
サトシくん
自分の資金より大きなお金を動かせる投資が禁止されているのかな?
カネット
正確には投機だネ。少しの損が大損につながりやすい投資は禁止されている傾向にあるヨ。大損した場合、お客さんのお金を横領するリスクのことも考えているのかもしれないネ
銀行員ができる投資(仮想通貨を除く)
どのような投資なら銀行員でもできるのでしょうか。ここでは、仮想通貨のほかに銀行員ができる投資についてお伝えします。
株式現物取引
銀行員の株式投資は認められており、信用取引は禁止されていますが、現物取引なら投資してもよいことになっています。
ただし、無条件に取引できるわけではなく、勤務先に事前申請する必要があるなどの制限があります。
もし、購入するために申請しても、勤務先の支店と融資などの取引がある企業の株式である場合、インサイダー取引が疑われる恐れがあると勤務先が判断すれば、許可が出ないこともあるでしょう。
また、株式投資をしている銀行員は、本店の審査部など、多くの企業情報が入手できる部署には配属されない可能性もあるなど、仕事上で不利益がある可能性もあるのです。
そのため、現物取引でも株式投資をするのは、慎重に判断したほうがよいでしょう。
投資信託
投資信託とは、投資家から資金を集めた資金をもとに、運用会社が株式や債券などに投資をして、配当や売却益などの利益を投資家に還元する金融商品です。
投資対象が特定企業の株式ではなく、銀行員が入手できる情報をもとに取引できる商品ではないため、銀行員でも投資できるのです。
投資信託ならインサイダー取引を疑われることがなく、配属先の決定などで不利益を受けることもないため、銀行員が安心して投資できる金融商品だと言えるでしょう。
不動産投資
銀行員の不動産投資は無条件で認められているわけではなく、相続した不動産を貸し出して賃貸収入を得ることは認められています。
行内規定で禁止になっている銀行も多く、不動産投資を行っていることが会社にばれてしまうと、懲戒処分を受ける可能性もあるのです。
そのため、相続した不動産ではなく、収益物件を購入して不動産投資を始めたい場合は、事前に行内規定を確認しておくことが大切です。
サトシくん
許可されている投資は現物取引が多いね。用意した資金以上に損をしないタイプの投資ばっかりだ
モナちゃん
しかも、やって良い投資でも一応許可は必要なのね。あとは出世とか転勤とか……本業に影響が出てくる可能性がちょっと心配だわ
カネット
仮想通貨投資意外で安心して投資できる対象は、投資信託くらいだヨ。だから、銀行員の仮想通貨投資がOKなのは良いニュースの一つといえるネ!
銀行員が仮想通貨投資を行う際の注意点
最後に、銀行員が仮想通貨投資を行う際の注意点について確認していきましょう。
行内規定を確認する
銀行員が仮想通貨投資を行う際は、行内規定を確認しておくことが大切です。
金融商品取引法では、銀行員が株式信用取引やFX、先物取引、オプション取引などを行うことを禁止していますが、勤務先が独自に定めたルールもあるはずです。
勤務先があらゆる副業を一切禁止していれば、仮想通貨投資も副業に該当するため、勤務先の許可は得られない可能性があるのです。
仮想通貨はインサイダー取引につながる投資ではありませんが、投機的な要素は含まれていると考えられることからも、事前に行内規定を確認しておいたほうがよいでしょう。
勤務先に知られたくないなら住民税を普通徴収に
現在は銀行員であっても仮想通貨取引所にアカウントを作成できるので、銀行員が仮想通貨投資を行うことは可能です。
しかし、勤務先が副業を禁止している、配属先に支障が出るなどの事情で、仮想通貨投資をしていることを勤務先に知られたくない方も多いでしょう。
仮想通貨投資を勤務先に知られないようにするには、確定申告時に住民税を普通徴収(自分で納付する)にする方法があります。
確定申告書第二表の右下に「住民税の徴収方法の選択」の項目があるので、「自分で納付」にチェックを入れて提出します。
すると、仮想通貨投資の所得分の住民税は、自宅に請求書が届き、勤務先には給与所得分の住民税のみが請求されるのです。
ただし、確定申告で普通徴収を選択しても、自治体によっては勤務先に特別徴収されることがあるので、事前に住んでいる自治体に確認しておくとよいでしょう。
今後は規制対象になる可能性がある
2018年3月現在、仮想通貨は金融商品取引法の適用対象外ですが、今後は規制対象になる可能性は十分に考えられます。
仮想通貨取引では現物取引のほかFXもできることから、金融商品取引法で銀行員に禁じている「投機的利益の追求」に該当する可能性があります。
仮想通貨は大きな利益が見込める分、損失も大きくなるリスクがあることから、銀行員に禁止している取引に似た性質を持っていると言えるでしょう。
そのため、銀行員が仮想通貨投資を行う際は、今後は規制対象になる可能性があることを意識して取引を行うことが大切です。
カネット
ちなみに、銀行も徐々に仮想通貨を取り入れだしているカラ、今後は銀行員の仮想通貨投資も規制されるおそれはあるヨ!今年は大丈夫でも来年、再来年はどうなるかは不明だから覚えておいてホシイ!
モナちゃん
銀行の国際送金に仮想通貨の技術を使ったり、銀行が仮想通貨を発行するって話も出てるしね。結構近々規制されるような気もするわ
サトシくん
なるほど……もし銀行員が仮想通貨投資をやるなら今のうちくらいしかないんだね……
カネット
副業禁止の銀行も多いし、仮想通貨FXの扱いはどうなるかわからないけどネ。銀行員の仮想通貨投資の規制が全然整ってないから、仮想通貨投資をしたい場合は一度自分の勤務する銀行に聞いたみた方が良いカモ!
銀行員でも仮想通貨は買える!リスクを理解したうえで仮想通貨投資を始めよう!
銀行員は株式やFXなどの金融投資について厳しく規制されていますが、銀行員でも仮想通貨を売買することは可能です。
仮想通貨は金融商品取引法上の有価証券に該当せず、インサイダー取引につながらないことから、銀行員でも仮想通貨投資ができるのです。
ただし、勤務先が副業を禁止している場合は行内規定に触れる恐れがあり、今後は規制対象になる可能性もあります。
仮想通貨投資は銀行員ができる数少ない投資のひとつです。リスクがあることを理解したうえで仮想通貨投資を始めましょう。