ロシアの仮想通貨市場の現状は?規制内容や政府の動向、今後の予想を解説

ロシアの仮想通貨市場の現状は?規制内容や政府の動向、今後の予想を解説

カネット XXX(表情名入力)カネット

今日は、ロシアの仮想通貨市場について詳しく説明するヨ。

サトシくん XXX(表情名入力)サトシくん

ロシアって何となく、新しいものは厳しく規制するイメージがあるけど、仮想通貨に対してはどうなんだろ?

カネット XXX(表情名入力)カネット

サトシくんのイメージ通り、ロシアでは当初、仮想通貨の取引は国に規制されていたンダ。でも、その後動向は大きく変わってきてイル。順番に見ていこうカ!

日本やアメリカ、西欧諸国と比べると、ロシアや中国など旧共産圏の国々では、仮想通貨市場の動向が大きく違います。

国家による統制が強いこれらの国々の中には、仮想通貨に対して強い規制をかける国もあれば、経済戦略の1つとして仮想通貨の普及に前向きな国もあるのです。

その中でロシアの仮想通貨市場は、他国とは異なる展開を見せています。今後の仮想通貨市場を占う上でも、ロシアの動きは重要です。

そこで今回は、ロシアの仮想通貨対策と今後の動向を、ロシア経済の現状とリンクさせながら確認していきましょう。

ロシア経済の現状とは

20世紀にはアメリカと世界を二分していた超大国、ソビエト社会主義共和国連邦が崩壊したのは、1991年のことでした。

その後広大な領土はいくつかの国家に分裂して、モスクワを中心とするソ連の基盤を引き継いだのが現在の「ロシア連邦」です。

経済規模の縮小と国内情勢

かつての超大国であったロシアも現在は、国内総生産(GDP)が世界第10位にまで下落するなど、その経済規模はかなり縮小してしまいました。

ロシアは石油・石炭・天然ガスなどのエネルギー資源に恵まれ、世界屈指の穀物生産国でもありますが、輸出の6割以上をこうした天然資源に頼っているため、国家としての経済基盤は決して安定しているとは言えません。

また共産主義から資本主義への移行過程で、多くの国営企業が民営化されたものの、未だにGDPの6割以上は国営企業に頼り、資金融資の約7割は国営銀行が担っています。

このようなロシアの国家構造は、他の先進国とは大きく違っています。

ロシア経済を圧迫する経済制裁

ロシア経済は2016年に深刻な不況に見舞われました。その原因は直接的には天然資源の価格が下落したことですが、それ以上にロシアを悩ませているのが、アメリカを中心とする西側諸国による経済制裁です。

ウクライナ問題などでロシアに対して発動された経済制裁は、2018年に入ってからアメリカの提案によりさらに拡大されました。

現在ロシアではプーチン体制の元、長期的な経済刺激策が行われていますが、経済制裁がこのまま続けられると景気の低迷が長引きそうな情勢です。

とにかくロシアにとっては、アメリカの存在が何よりも悩みのタネと言うのが本音でしょう。

下落する通貨価値

ロシアの通貨ルーブルも、景気の低迷と同様に値を下げていて、主な国内企業の株価も下落傾向にあります。

さらに企業にとっては海外からの資金調達も難しくなっていて、業績回復の見込みすら立てられない状況です。

ルーブル

引用元:ルーブルの相場

ロシアの国債は高い利率で人気があり、現在多くの海外投資家が保有していますが、経済制裁が長引くと国債への投資も減少する危険性があります。

このようにロシアでは国債や株価を含めて、国際的に通貨の価値が下落しています。現在のようなドルを基軸にした世界経済から、何とかして別な経済システムに移行したいというのが、ロシア政府の本音と言って良いかもしれません。

そこでロシアが目を付けたのが、仮想通貨による新しい経済システムの構築なのです。

カネット XXX(表情名入力)カネット

ロシアは経済制裁によって景気の低迷が続いてイル。ルーブルの通貨価値も下がっていテ、海外からの資金調達も難しい状態なんダ。

モナちゃん XXX(表情名入力)モナちゃん

世界の基軸通貨は米ドルだけど、アメリカからの経済制裁を受けるロシアの立場からすれば、米ドルに代わる新しい経済システムを探していた…だからこそ仮想通貨に注目したというわけね。

カネット XXX(表情名入力)カネット

ただ、仮想通貨に対するロシアの当初の対応は厳しいものだったンダ。

ロシアでの仮想通貨政策の流れ

ビットコインでの取引が活発になり始めた2014年、ロシア財務省は犯罪やマネーロンダリングの温床になるとして、仮想通貨に厳しい規制をかけ始めました。

その後さまざまな規制内容が議論され、国家による規制はさらに強まる見通しでしたが、最近のロシアでは仮想通貨をとり巻く情勢は大きく変化しつつあります。

抑圧された仮想通貨

未だに国家による統制が厳しいロシアでは、仮想通貨取引は当初規制の対象となるような歓迎されざる存在でした。一時期ビットコインの使用に対しては、法的な罰則も検討されるほどだったのです。

2014年から2015年にかけては、ロシア国内では仮想通貨に対する規制を強化する議論が活発で、国外からもロシアでは仮想通貨の取引は難しいと見られていました。

しかしこの時期でも仮想通貨の技術面、特にブロックチェーンの技術に関しては、ロシア中央銀行などでも積極的に研究が進められていました。

その背景には、既に始まっていた西側諸国による経済制裁の影響があったのかもしれません。

徐々に方向転換する仮想通貨事情

2016年はロシア経済にとって非常に厳しい年でしたが、同時に仮想通貨に対する風向きが変わった年でもありました。

今まで仮想通貨に厳しい姿勢をとっていた財務省も、少しずつ態度を軟化させるようになり、ビットコインの使用に対する罰則案も撤回されました。

さらに2017年はロシアの仮想通貨政策が大きく変化した年で、政府はブロックチェーンの合法化に着手することを表明します。

その上で日本と同様に、仮想通貨に対する具体的な法整備の必要性も議論されるようになりました。当初は経済市場からの排除さえ考えられていたことからすれば、驚くべき大転換だと言えるでしょう。

そしてその年の10月には、ロシア政府が誰も予想していなかった大胆な政策を発表します。

1つはロシア中央銀行が発表したもので、今後ロシアは独自の仮想通貨を開発して発行するという施策でした。もう1つは財務大臣による発表で、何と政府が先導して仮想通貨のマイニングを行うという内容です。

こうした大転換のきっかけになったのは、どうやらプーチン大統領が仮想通貨に興味を持ち始めたことと関係があるようです。

そして遂に同月14日、ロシア政府は独自の仮想通貨「クリプトルーブル」の発行を決めたことを、プーチン大統領による決定事項として発表しました。

翌日には中国中央銀行からも、中国が独自の仮想通貨を発行する予定であるとの声明が出されます。ロシアと中国という2大国が、このように同調する歩みを見せたことは、今後の世界経済にかなり大きな影響を与えることでしょう。

サトシくん XXX(表情名入力)サトシくん

2017年を境にロシアでの仮想通貨整備が大きく進められていったんだね。

カネット XXX(表情名入力)カネット

それだけでなく、国を挙げて仮想通貨を発行する案や、マイニングを行う案まで発表されていル。

モナちゃん XXX(表情名入力)モナちゃん

プーチン大統領が仮想通貨を認めたことが大きいわね。国のトップが全面的に仮想通貨の導入を進めれば、かなり強い後ろ盾になるものね。

ロシアの仮想通貨をとり巻く現状

規制された仮想通貨のイメージが強いロシアでは、仮想通貨市場もかなり小規模で閉鎖的だと思われるかもしれません。

ところが2018年現在、いつの間にかロシア国内では仮想通貨熱が高まっていたのです。

積極化する政府と企業

2017年8月には仮想通貨の業界団体として、「ロシア暗号通貨・ブロックチェーン協会(RACIB)」が設立され、政府と業界との間での仮想通貨(ロシアでは「暗号通貨」が一般的)に関する議論が活発化しています。

※参考:ロシア暗号通貨・ブロックチェーン協会

また「Yobit」「LIVECOIN」「Liqui(隣国ウクライナの取引所)」などの取引所が開設されて、現在ロシア国内にはおよそ150万人の仮想通貨トレーダーがいると推測されています。

さらにマイニングに関わる個人や企業も多く、推定で50,000人を超える個人と、1,000社を超える企業がマイニングを行っていると言われています。

ロシアは天然資源が豊富なため電気代が安く、気候が冷涼なためマイニング作業に向いている地域でもあるのです。

なお、マイニングについて詳しくは「仮想通貨のマイニングとは?」で説明しています。

既に一般化している仮想通貨

2017年にロシア・ウクライナなど旧ソ連圏の4か国で、約3,000人の仮想通貨ユーザーを対象にして行われたアンケートからは、意外な結果が数字として表されました。

アンケートによると仮想通貨を保有している人の割合は約90%、その中でおよそ半数が実際に取引をして利益を出しているそうです。

また、マイニングを行っている人も全体の37%程度に上り、その内の29%は利益が出ているという結果です。

他にもこのアンケートからは興味深い結果が読み取れます。仮想通貨について知ったのは、ロシアが方針転換をした2016年以降が最も多く、使っている取引所はほとんどがロシア国外の取引所でした。

ちなみにアンケートの対象となった人のおよそ80%は、自身が低所得~中所得者層であると答えています。

ロシアでは現在ICO(Initial Coin Offering)か活発で、ベンチャー企業を中心に数十億円規模の資金調達が行われています。

一例として、ロシア政府も後押しする「Russian Mining Center」は、マイニング機器を開発するプロジェクトですが、既にICOで約4,320万ドル(約48億円)の資金調達に成功しています。

ICOはそのリスクと犯罪に利用される危険性から、世界的には規制が強まる傾向にありますが、ロシアでは今のところそうした動きはありません。

なお、ICOについて詳しくは「仮想通貨のICOとは?参加方法や注意点、メリット・デメリットを解説!」で説明しています。

このようにロシアでの仮想通貨の発展は、他の先進国とはやや違った方向に進んでいます。

政府が後援もしくは振興策をとって、マイニングやICOが盛んになっている国は、他にはほとんど見当たりません。

しかしこの特異性こそが、ロシアという国家のしたたかさの表れでもあるのです。

モナちゃん XXX(表情名入力)モナちゃん

ロシアの仮想通貨ユーザーの約4割がマイニングをしていて、3割近くが利益を出しているなんてすごいわね!

カネット XXX(表情名入力)カネット

国が後押しする形でICOを活発に行っているのもロシアの特徴と言えるネ。特にICOは詐欺案件の多さやリスクから規制している国が多いんだヨ。

サトシくん XXX(表情名入力)サトシくん

まさに、ロシアならではの仮想通貨熱って感じだね。

カネット XXX(表情名入力)カネット

ただ、まったく問題が発生していないというわけではないンダ。

仮想通貨熱のマイナス面

仮想通貨の認知度が高まることは、ユーザーにとって良い面ばかりではありません。新しい仕組みが現れる時には、必ずそれを犯罪に利用する者も現れます。

ロシアでも仮想通貨取引が盛んになる反面、仮想通貨に絡んだ犯罪や事件が増加しています。しかもロシアという国ならではの、仰天するようなニュースまで飛び込んでくるのです。

核兵器管理施設でマイニング!

2018年2月に、ロシア連邦核センターの技術者数人が逮捕されたというニュースが流れました。この技術者たちはセンター内のスーパーコンピュータを使って、勝手にビットコインのマイニングをしていたと言うから驚きです。

※参考:「coindeskニュース」より

確かに民間企業や個人が有するコンピュータに比べれば、ケタ違いの処理能力を誇るわけですから、マイニングにはうってつけとも言えるでしょう。

しかし、いくら国家的にマイニングを推奨しているとはいえ、政府の機関で、しかも最も危険な物を管理する施設内での行為とあっては、国家にとっても一大事です。

ロシアでは他にも国営銀行ズベルバンクや複数の大手企業で、職員や社員が極秘にマイニングを行っていたことが明らかになっています。

これらの施設には計算処理能力の非常に高いコンピュータがあるため、今でも同様の事例が後を絶たないそうです。

強盗被害に遭う仮想通貨

ロシアでは仮想通貨を狙った強盗犯罪も多発しています。被害に遭うのはほとんどが、社会的に知名度のある投資家や資産家で、自宅を襲撃された上で犯人グループにより、強制的に別の口座に仮想通貨を送金させられたりしています。

さらに仮想通貨の開発者の一人が、暴行を受けた上で仮想通貨取引に使うパソコンを盗まれたり、空き巣被害でパソコンを盗まれたりする被害も続発しています。

中には自宅で被害に遭い、殺害された投資家もいるなど、もはや社会的問題になっているのです。

仮想通貨投資で自殺者も

どんな投資でも成功する人ばかりとは限らず、失敗して多額の損失や借金を抱える人も出てきます。ロシアでも仮想通貨投資の失敗から破産状態に陥り、最終的に自殺を選ぶ人が少なくないそうです。

そんな問題に対処するため、ロシア国内でも最大規模の仮想通貨関連企業が、投資家向けに無料のホットライン・サービスを始めました。

心理学者などの専門家が、深刻な悩みを抱えた投資家からの相談を受けて、メンタルケアまで担当するこのサービスですが、現段階では効果が上がっているのかは不明です。

サトシくん XXX(表情名入力)サトシくん

仮想通貨熱の上がりすぎで発生する問題もあるんだね…。

モナちゃん XXX(表情名入力)モナちゃん

日本でも2017年末には仮想通貨熱が上がったけど、ロシアはこれまで規制されていたうえに、国の後押しもあったわけだから、より熱量が大きくなっているのかもね。

今後のロシアにおける仮想通貨の動向は?

ロシアの仮想通貨の動きは、他国とはやや異なっていることがわかったはずです。

ではこの先ロシアの仮想通貨政策と、経済の中での仮想通貨の広がりは、どのような変化を見せるのでしょうか?最新のニュースを元に、今後の動向を推測してみましょう。

仮想通貨決済が広がる可能性

ロシア最大のインターネット小売業者である「ウルマート(Ulmart)」は、2017年9月1日から、ビットコインによる決済を導入する計画を発表しました。

この計画通りに、現在ビットコイン決済が行われているかどうかは確認できませんが、もしも実現するとロシアでの仮想通貨のポジションは大きく変化するでしょう。

ウルマートは通販最王手のアマゾン同様に、小売り業者も出店することができます。つまりウルマートでビットコイン決済が可能になると、同時に多くの小売業者もビットコイン決済に対応できることになるのです。

これが実現するとロシア国内で、巨大な仮想通貨経済圏が生まれることになるのではないでしょうか。

進む仮想通貨に関する法整備

2018年1月には、仮想通貨(暗号通貨)を含む「電子金融資産」についてのロシア連邦法の法案がまとまりました。

その主な内容をまとめてみましょう。

電子金融資産についての法案骨子

・ロシアの領土における法的支払い手段ではない。

・取引所はロシア政府の法律に従って設立~運営される。

・仮想通貨取引は、政府に許可された取引所でのみ取引ができる。

・仮想通貨の取引については、法的に有効な行為と認められる。

・トークンについては、1つのトークン発行に対して5万ルーブル以上の購入を禁止。

・トークンの発行には、内容が保証されたホワイトペーパーが必要。

法案の内容によれば、仮想通貨の取引は法律の規定によってのみ認められた行為で、ロシア政府に許可された取引所でのみ取引が可能です。この点は先行する日本でのケースを参考にしたものでしょう。

またトークンについての規定は、今後増加が懸念されるICOを使った犯罪をけん制する狙いがあると思われます。

税制についての詳細は分かりませんが、仮想通貨の取引により生じた利益に対して、一律13%が課税される方針のようです。

さらにマイニングについても明確な課税対象として、今後は企業を設立するか個人事業主としての登録を義務付づけ、利益は法人税や所得税として徴収することになるようです。

ロシアの国家戦略としての仮想通貨

現在アメリカを中心とする西側諸国の経済制裁で、長引く不況から抜け出せないロシアにとって、最も悩ましい存在が「アメリカ」とその通貨「ドル」であることは前に述べました。

それらの障壁に対する打開策としてロシア政府が目を付けたのが、実は仮想通貨であると考えられています。

ロシアが開発~公開を計画している「クリプトルーブル」は、極めて珍しい国家主導による仮想通貨システム。今分かっているところでは、クリプトルーブルはマイニングによらず、公的機関が発行や管理を行う通貨になるようです。

本来の分散型システムである仮想通貨と言うよりも、クリプトルーブルはロシアが発行する国際通貨に近い性質になるでしょう。ではあえて自国で仮想通貨を開発するロシアの本当の狙いは、一体何なのでしょうか?

その目的はロシアを中心にした、クリプトルーブルによる新しい経済圏を構築することではないかと言われています。それはつまり、世界の基軸通貨ドルによって支配されている世界経済に対抗するための、ロシアの国家戦略だということです。

既にロシアは周辺のウクライナなどの旧ソ連圏国家や、同じく自国発の仮想通貨「ペトロ」を持つベネズエラなどの諸国と、経済面での緊密な協力関係を結んでいます。

国家としてのロシアのしたたかさは、西側諸国の想像の上を行っているのかもしれません。

カネット XXX(表情名入力)カネット

ロシアは「クリプトルーブル」を用いて新しい経済圏を作り上げようとしてイル。結局ロシアの目指すところは世界経済で優位に立つというところだろうネ。

モナちゃん XXX(表情名入力)モナちゃん

ロシアの今後の動きによって、仮想通貨の価格変動は大きく変わる可能性も高いよね。ロシアの動向はしっかりチェックしておかないと!

仮想通貨市場全体にも大きな影響を与えるロシアの動きに注目

アメリカやヨーロッパ諸国など、主な先進国では仮想通貨のマイニングや、ICOなどの活動を規制する動きが活発化しています。

以前はロシアもそうした流れに同調して、仮想通貨に対する規制を強める傾向にありました。ところがある時期を境に、ロシア国内での仮想通貨に関わる動向が大きな変化を見せています。

現在のロシアは他国に比べて、仮想通貨に対して寛容な国家へと変身を遂げているようにも見えます。今後ロシアが、世界中で最も仮想通貨取引が活発な国の1つになることは間違いないでしょう。

今後の仮想通貨市場の予想していく上で、ロシアの動きは非常に重要です。仮想通貨投資にも大きく関わるので、注目しておきましょう。