量子コンピューターが仮想通貨を破壊する?脅威となる理由や耐性を解説

量子コンピューターが仮想通貨を破壊する?脅威となる理由や耐性を解説

カネット XXX(表情名入力)カネット

2人とも「量子コンピューター」って知ってル?

モナちゃん XXX(表情名入力)モナちゃん

たしか、ものすごく高い計算能力を持ったコンピューターのことよね?

サトシくん XXX(表情名入力)サトシくん

僕、ニュースサイトで「量子コンピューターが仮想通貨の仕組みを破壊する」って書かれてたのを読んだよ!でも、デタラメだよね?

カネット XXX(表情名入力)カネット

デタラメではないヨ!量子コンピューターは実際に仮想通貨にとって脅威となると言われてイル。今日はその理由と耐性について詳しく見ていこうカ!

量子コンピューターといえば、超高性能のコンピューターということは漠然と知っている人も多いでしょうが、この量子コンピューターは仮想通貨の脅威になりかねないとも言われています。

なぜ量子コンピューターが仮想通貨にとって脅威となり得るのでしょうか。また、最近の仮想通貨には量子コンピューター耐性なるものが実装されていますが、それはどういうものなのでしょうか。

仮想通貨の脅威と言われる量子コンピューターとは?

量子コンピューターは現在のものとは比べ物にならないほど高い計算能力を持つ高性能なコンピューターです。実用化に向けて研究が進められている期待の技術ですが、その計算能力の高さを悪用すると仮想通貨にとって脅威になり得ます。

量子コンピューターの特徴

現在のコンピューターは「論理ゲート」と呼ばれるものを用いて計算を行っています。これに対して量子コンピューターは「量子ゲート」と呼ばれるものを利用しているのです。

量子ゲートとはどのようなものかについては本題から外れるので説明を省きますが、いずれにしても量子ゲートの採用によって、量子コンピューターの性能は現在の1億倍の性能になるといわれています。

こう書くと遠い未来の話のように思えますが、実はそうでもなさそうなのです。NECが2023年の実用化を目指すとしているように、数年後には実用化されている可能性があります。

この凄まじい計算力が良い方向ばかりに利用できれば問題ないのですが、実際には悪用される可能性も考えておかなければならないのが頭の痛いところです。

量子コンピューターが与える影響

量子コンピューターが仮想通貨に与える影響としては、ブロックチェーンの重要な技術である「公開鍵暗号」方式が破られる可能性があることです。

ブロックチェーンの「公開鍵暗号」方式が破られる

ブロックチェーンにはデータを暗号化する公開鍵と、暗号化されたデータを元に戻す秘密鍵があります。教えてもよい公開鍵の方は、秘密鍵をもとに計算によって生成されています。

理論的には、公開鍵を逆算することで、秘密鍵を割り出すことは可能です。ただ、現在のコンピューターでこれを行うには時間がかかりすぎるため、事実上不可能とされているのです。

ところが、現在のコンピューターの1億倍の演算能力を持つ量子コンピューターが実用化されると、話は変わってきます。

公開鍵から秘密鍵を割り出せないのはあくまでも「時間がかかりすぎる」からであって、その時間を大幅に短縮できる量子コンピューターなら、秘密鍵を割り出すことが可能になるのです。

秘密鍵が解読されて取引データの改ざんやウォレットがハッキングされる

もし秘密鍵が解読されてしまうと、まず間違いなく行われるのがウォレットのハッキングです。他人が自分のウォレットを開けて、仮想通貨を引き出し放題になってしまうのです。

現時点でも、何らかの手違いによってウォレットの秘密鍵が漏れてしまった場合、入っている仮想通貨を別のウォレットに送り、そのウォレットは放棄せざるを得なくなります。

また、秘密鍵を知られることはブロックチェーン上のすべての権限を奪われることでもあります。これによって、取引データが改ざんされてしまう危険性もあります。

現時点でこれが起きるのはヒューマンエラーによる場合ぐらいですが、量子コンピューターならば公開鍵からこの秘密鍵を割り出すことが可能なので、一大事となるわけです。

モナちゃん XXX(表情名入力)モナちゃん

なるほどね…。量子コンピューターの計算能力で、仮想通貨の秘密鍵が割り出せる可能性があるんだ。確かにそうなれば、仮想通貨のシステムが破壊されるといってもいいかも…。

カネット XXX(表情名入力)カネット

もちろんこれは量子コンピューターの本来の使われ方ではナイ。でも、どんな道具や技術も悪用されれば脅威となる可能性がアルンダ。

サトシくん XXX(表情名入力)サトシくん

その点、現時点である程度の予測がついているだけ対策のしようがあるともいえるかもね。

カネット XXX(表情名入力)カネット

その通リ!考えられる対策として、次のものがあるヨ!

量子コンピューターから仮想通貨を守るために

量子コンピューターから仮想通貨を守るためには、秘密鍵を複雑化するなどして量子耐性を得ることや、ランポート署名という解読困難な暗号化方式を採用することなどが考えられます。

量子耐性を得るための4つのアプローチ

量子耐性を得るためのアプローチは4つです。秘密鍵の複雑化、3進数の採用、ハッシュ関数の複雑化、使い捨てパスワードの採用です。

秘密鍵の複雑化

複雑化といっても、そんなにややこしいものではありません。秘密鍵そのものを長くしてしまうのです。長いパスワードほど解析に時間がかかるのと同じ理屈です。

もちろん、秘密鍵を長くすれば暗号化解除をはじめとする処理に時間はかかります。その点についてはこちらも量子コンピューターを利用すれば解決できるというわけです。

3進数の採用

コンピューターの演算で使用されているのは、主に2進数です。場合によっては10進数や16進数が使われることもあります。

こうした馴染みの深い進数を使用すると計算しやすくなるので、敢えて馴染みがない3進数を採用することで、演算をしにくくするという方法もあります。

3進数の採用によって演算がしにくくなれば、秘密鍵の解析に時間がかかるようになりますので、量子コンピューター対策になるという仕組みになっています。

ハッシュ関数の複雑化

ハッシュ関数とは、どのような大きさのファイルであっても、決まった数の文字列に変換されるものです。ブロックチェーンには欠かせない関数だとされています。

現在、ビットコインで使用されているハッシュ関数はSHA-256と呼ばれるものですが、量子コンピューターだと解析スピードが数千億倍になるといわれています。

この点が不安だと判断すれば、より複雑なハッシュ関数を採用すればいいのです。複雑なハッシュ関数ならば、量子コンピューターでの解析スピードが抑えられるからです。

使い捨てパスワードの採用

これはウォレットや仮想通貨取引所のパスワード解析に対して有効です。仮想通貨取引所の二段階認証で入力する6桁の番号がありますが、あれが使い捨てパスワードなのです。

仮に量子コンピューターの力でパスワードが解析されたとしても、使い捨てならば二度と使うことはありませんので、解析されてもダメージはゼロになるというわけです。

解読困難な暗号化方式「ランポート署名」

上で少し触れましたが、ハッシュ関数をはじめとする暗号化の仕組みを複雑にすることは、量子コンピューター対策として有効な方法と言えます。

ならば暗号化そのものを複雑にすれば、量子コンピューターでも解析が難しくなるというわけですが、そうした解読困難な暗号化の方法のひとつが「ランポート署名」です。

まず、下図のように256対(512個)の乱数を使って秘密鍵を作り、それぞれを暗号化して公開鍵を作成していきます。

仮想通貨の送金を行う際には署名の暗号化を行いますが、この暗号化に256対の乱数からなる秘密鍵を利用するのです。

仮想通貨を受け取った側は公開鍵によって暗号化の解除を行いますが、このときにこの256対の乱数と照合を行う必要があるのです。

量子コンピューターがこの乱数を解析するためには、時間が必要です。1対の乱数解析に1分かかると言われているため、256対だと約256分、4時間強という計算になります。

解析そのものは可能であっても、できるのはせいぜい1日当たり5、6件といったところで、時間がかかる割には実入りが少ない状態になるというわけです。

量子コンピューター対策は常に進められている

量子コンピューターの実用化が近いと言われている現在、仮想通貨サイドも無為無策というわけではないのです。上記のようなさまざまな対策を、常に進めているのが現状です。

量子コンピューターによって現在の暗号化技術が簡単に破られる可能性が高いのなら、破られにくい暗号化技術の開発を常に進めているといった感じでしょうか。

サトシくん XXX(表情名入力)サトシくん

さらに複雑な暗号化技術の開発も進められているんだね。

カネット XXX(表情名入力)カネット

さらに量子コンピューターへの耐性を持つと言われている仮想通貨もすでにいくつか登場しているンダ。

量子コンピューター耐性のある仮想通貨

仮想通貨側が量子コンピューター対策を進めていくなかで、量子コンピューター耐性があるとされる仮想通貨も登場しています。

主な仮想通貨としてはネオ(NEO)、エイダコイン(ADA)、アイオータ(IOTA)、シールド(XSH)などに量子コンピューター耐性があるとされています。それぞれ、どのような仮想通貨なのでしょうか。

ネオ(NEO)

ネオは中国で初めてオープンソースのブロックチェーンを利用した仮想通貨で、スマートコントラクトなどを実装していることから「中国版イーサリアム」とも呼ばれています。

量子コンピューターの問題点は暗号化を短時間で解除してしまうことですが、ネオは解除されにくい暗号化システム「NeoQS」を採用し、量子コンピューター耐性を強化しています。

エイダコイン(ADA)

エイダコインはもともと、オンラインカジノ「カルダノ」で使用することを目的として作られた仮想通貨ですが、現在では銀行口座を持たない人たちの「財布」となることを目指しています。

現在のロードマップの中で、量子コンピューターに耐性を持った暗号化方式である「ブリス(BLISS)署名」を採用することを明言しており、今後の開発状況が注目されています。

アイオータ(IOTA)

アイオータはビットコインのようなブロックチェーンを用いず、DAGと呼ばれる技術を採用している仮想通貨です。

DAGは量子コンピューターによるハッキングの効率化がやりにくいうえ、暗号化に3進法を採用しているため、量子コンピューター耐性が高いとされています。

シールド(XSH)

シールドは匿名性を重視して開発された仮想通貨ですが、量子コンピューター耐性についても当初から主要テーマのひとつとなっています。

上で解読困難な暗号化方式と説明したランポート署名を採用しているほか、エイダコインが採用予定のブリス署名の改良版も導入するとしています。

量子耐性のある通貨は高騰への期待が高い

量子コンピューター耐性を備えた仮想通貨はセキュリティー面でアドバンテージを持っているため、今後の高騰が見込めるといわれています。

2018年8月上旬時点での時価総額はネオが14位、エイダコインが8位、アイオータが10位と比較的上位となっています。シールドについては今後に期待といったところでしょうか。

モナちゃん XXX(表情名入力)モナちゃん

量子コンピューター耐性のある仮想通貨は、今後ますます値動きに期待できそうね。

カネット XXX(表情名入力)カネット

すでに時価総額で上位にあるものも多いヨ。そういう点で投資する通貨を決めるのもいいかもネ。

量子コンピューターの活用を目指す「ラティス(Lattice)」

量子コンピューターは仮想通貨にとって脅威ですが、逆に良い方向に利用すれば「心強い味方」になり得ます。その量子コンピューターの活用を目指しているプロジェクト「ラティス(Lattice)」です。

ラティス(Lattice)とは

ラティスの開発元はエストニアの企業ですが、開発の中心メンバーには日本人もいます。ラティスのブロックチェーンに実装されている量子コンピューター耐性を広めることが目的だとしています。

ラティスのICO

ラティスのICOは2018年4~6月に行われ、イーサリアム1ETHに対して2万3,333Latticeを配布するという形で行われました。

量子コンピューターを仮想通貨に利用するための研究の資金を調達することが目的で、目標金額は5億円となっていました。

仮想通貨取引所への上場は9月が目標ですが、現時点では「安全性の高い取引所」の選定を行っていると説明しています。

ラティストークンの特徴

ラティストークンはERC20に準拠したイーサリアムベースのもので、現時点では承認アルゴリズムとしてPOS(Proof of Stake)を採用するということしか分かっていません。

ICOによって集めた資金でラティスが開発を行おうとしているのは、量子コンピューターに破られにくいブロックチェーンと、よりスピーディーな送金システムです。

ブロックチェーンについては、量子コンピューターによる解析が難しいとされている「格子暗号」を用いて暗号化を行うことで、量子コンピューター耐性を高めるとしています。

格子暗号とは下図のように暗号化にベクトル計算を用いるもので、量子コンピューターはこのタイプの計算が苦手だとされています。

また、量子コンピューターの動作原理のひとつ「量子アニーリング」を利用して時間当たりの承認件数を増やすことで、送金スピードをアップさせるとも説明しています。

量子アニーリングは「量子焼きなまし法」ともいわれ、D-wave社の量子コンピューターの動作原理に採用されたことで注目を集めています。

ラティスに対する期待

現時点ではラティスに対する期待は、必ずしも高くありません。評価サイト「ICObench」では5点満点で2.4点(2018年8月上旬時点)と、かなり辛口の評価となっています。

ホワイトペーパーの英語の綴りが間違っていたり、英語版のホワイトペーパーに中国語の図が掲載されていたりするなどの不備が、辛口評価につながっているようです。

一方で、技術面については高いレベルだと評価している投稿もあります。今後の開発状況が評価の上下につながると言えそうです。

モナちゃん XXX(表情名入力)モナちゃん

量子コンピューターは悪用されれば仮想通貨の脅威となるけど、良いことに使えば私たちの生活にすごく役立つものなんでしょ?

カネット XXX(表情名入力)カネット

その通りダヨ。自動車運転技術とカーナビを組み合わせて、世界中の交通渋滞を緩和したり、分子構造の解析に使って薬効の高い医薬品の開発にも利用できると言われてイル。

サトシくん XXX(表情名入力)サトシくん

ぜひとも良い方向に役立てて欲しいな。そのためには今のうちにしっかりリスクと対策を知っておくことが大切なんだね!

量子コンピューターへの今後の対応と動向に注目しよう(まとめ)

量子コンピューターは仮想通貨にとっては技術的根幹を揺るがす脅威となり得ますが、逆に自らを守るための強力な武器にもなり得る存在です。

数年後には量子コンピューターが実用化されるといわれている現在、仮想通貨の今後を考えるためにも、量子コンピューターの動向に目を配っておく必要がありそうですね。