サトシくん、仮想通貨をちょこちょこ買ってきたおかげで、結構増えてきたみたいね♪でも、そろそろウォレットに送金しておかないと安全面が心配じゃない?
仮想通貨を送金する仕組みとは?かかる時間や手数料、注意点を詳しく解説!

モナちゃん
サトシくん
確かに…でも僕、仮想通貨の送金ってよくわかってないんだよね。
カネット
じゃあ、ボクが詳しく教えてあげるカラ、しっかり理解しておいテ!送金は仮想通貨投資の重要なポイントだヨ!
ウォレットと仮想通貨取引所の間や、別の取引所に仮想通貨を移動させたい場合には、「送金」という操作が必要。
では、その送金の仕組みや手数料は、どのようになっているのでしょうか。また、送金に当たってはどのような点に注意すればいいのでしょうか。
目 次
仮想通貨の送金の仕組みや銀行との違い
仮想通貨の送金情報はすべて記録されており、不正が行われないようにチェックされています。また、銀行などと比較して送金時間がかからないというメリットがあります。
送金情報は全て記録される
たとえ送金しても記録が残っていなければ、不正やトラブルのもとになりかねません。法定通貨でいえば、銀行が全ての送金記録を管理しているのはこのためです。
同様の問題を防ぐため、仮想通貨はブロックチェーン上に送金情報をすべて記録しているのです。送金元と送金先、送金額といったデータがすべて記録されています。
このデータを第三者が正しいかどうかをチェックし、正しいと承認することになっています。この作業によって、送金にからむ不正を防ぐ仕組みになっているのです。
送金にかかる時間
仮想通貨の送金は、法定通貨のように銀行などの機関を通して行われるわけではありません。パソコンやスマートフォンなど端末同士のデータやり取りによって行われます。
間に特定の機関を通す必要がないため、海外などへの送金が素早くできるのが、仮想通貨の大きなメリットです。
ただ上にも書きましたが、送金時に不正が行われていないことを承認するための時間は必要です。このため、全ての仮想通貨が即座に送金できるというわけではありません。
ビットコインやイーサリアムのように利用者が増えると、承認作業も増えて時間がかかるようになり、送金スピードの低下を招くという問題が起きています。
カネット
仮想通貨の送金は、間違いや不正が無いか承認されて初めて実行されル。すぐに送金が反映されるわけではないから覚えてオコウ!
サトシくん
承認がないと、誰が誰にどれだけ送ったかがわからなくなるし、悪いことにも使われちゃうもんね。
仮想通貨を送金する流れ
仮想通貨の送金に当たって必要なのは、基本的に相手方のアドレスだけです。また、送金そのものは即座に行われますが、マイナーによる承認が完了するまでは送金が反映されません。
送金を行う主な場面
送金は取引所とウォレット間、取引所同士、ウォレット同士、取引所・ウォレットから企業などへ行うケースが考えられます。目的は下の表のようになります。
取引所→ウォレット | 安全に保管するため |
ウォレット→取引所 | 売買を行うため |
取引所→取引所 | 売買を行うため ハードフォークに対応するため |
ウォレット→ウォレット | 知り合いに送るため |
ウォレット・取引所→企業など | 物品購入時の決済のため ICOに参加するため |
一例を挙げれば、取引所に置きっぱなしだとハッキング被害を受ける危険性があるため、ウォレットに移しておくといった具合です。
送金に必要なものはアドレスのみ
仮想通貨の送金そのものは難しくありません。送金先のアドレスを入力し、そこに送る手続きを行うだけです。あとは相手側に反映されるのを待つだけです。
ただし仮想通貨によっては、リップルの宛先タグのように別の情報が必要となるケースもあります。送金時にはちゃんと確認しておきましょう。
送金は「即座」に行われるが「未承認」の状態
後述しますが、最近は「仮想通貨を送ったけれどなかなか届かない」という事態が発生していますが、送金そのものは即座に行われています。
ではなぜ反映されないかというと、マイナーによる承認が行われるまでは「未承認」の状態となっているからです。マイナーが承認して初めて、相手側に送金が反映されるという形になっています。
マイナーによる承認作業
上でも少し触れましたが、電子データである仮想通貨の送金時には、不正が行われる危険性があります。このため、送金時に不正が行われていないことを承認する作業が必要です。
仮想通貨では「マイニング」という言葉をよく聞きますが、このマイニングこそが承認作業なのです。不特定多数のコンピューターなどを使って、マイナー(マイニングをする人のこと)が承認作業を行っているわけですね。
もちろん承認作業をタダで行うわけではありません。送金の際にかかる手数料が、マイナーに報酬として支払われる仕組みになっているのです。
中にはリップルのように中央集権的な組織が承認者を選定し、承認に当たっての報酬を支払わないというケースもあります。
マイニングについて詳しくは「仮想通貨のマイニング(採掘)とは?仕組みや報酬、やり方を解説します!」で説明しています。
カネット
仮想通貨の送金は基本的に送り先のアドレスさえあれば可能ダヨ。ただしリップルのように例外もあるから注意シテ!
モナちゃん
リップルはアドレスの他に「タグ」というものを入力しないと正しく送金されないそうよ。
送金を有効にする承認作業って何?
仮想通貨の送金において承認作業が必要なのは上で触れていますが、具体的に承認作業ではどのようなことが行われているのか、もう少し具体的に説明していきましょう。
ウォレットの持つ情報
仮想通貨のウォレットには、送金において重要となる3つの情報が入っています。秘密鍵と公開鍵、ビットコインアドレスです。
秘密鍵
秘密鍵とは、そのウォレットに対するすべての操作を行うために必要な鍵です。この秘密鍵が流出すると他人にウォレットを勝手に操作されることになりますので、気を付けて保管すべきデータだと言えます。
送金するときにはさまざまな情報が暗号化されますが、この暗号化に必要となるのが秘密鍵です。秘密鍵がなければ、送金自体を行うことができないのです。
公開鍵
秘密鍵を使って暗号化されたデータは元に戻す必要がありますが、このときに使用されるのが公開鍵です。秘密鍵に対応した公開鍵を使わなければ、暗号化解除を行うことはできません。
公開鍵は秘密鍵を元に作られますが、公開鍵から秘密鍵が特定することは現時点のコンピューターの能力ではほぼ不可能です。
なお、秘密鍵・公開鍵について詳しくは「仮想通貨の公開鍵と秘密鍵って何が違うの?仕組みや方式を徹底解説!」で説明しています。
ビットコインアドレス
銀行でいうと口座番号に相当するもので、送金時には相手方のビットコインアドレスを入力する必要があります。27~34桁の英数字で、公開鍵から作成されるものです。
ちなみに、ランダムに27~34桁の英数字を入力しても送金作業は行えますが、対応する公開鍵がないので仮想通貨を受け取れなくなります。この問題については後述します。
送金リクエスト
送金するに当たってはまず、送金リクエストが必要となります。ATMで振り込みを行う際に、さまざまな情報を入力するのと似たような感じですね。
・「AさんからBさんへ○○BTC送る」という情報
まず、Aさん(自分)のビットコインアドレスからBさん(相手方)のアドレスに、数BTC送るという情報が作成されます。当たり前ですが、この情報がないと送金自体ができません。
・秘密鍵で暗号化
上の情報をそのまま送信すると、ハッカーによって抜き取られてしまう可能性があります。そうならないようにするために暗号化を行いますが、このときに秘密鍵が必要となります。
・リクエストをP2Pへ送信
暗号化された送金リクエストの情報を、P2Pという双方向ネットワークで相手方に直接、送付します。この段階で、送金側にできる作業は完了です。
暗号化されたリクエストを検証
送信されたデータは、不正が行われていないかどうかマイナーがチェックします。チェックが完了してマイナーが承認して初めて、相手側にリクエストが到着します。
あとは相手方が対応する公開鍵を使って暗号化を解除すれば、無事に送られた仮想通貨を受け取ることができるというわけです。
マイナーへの報酬として手数料が発生
上でも触れましたが、送金には手数料が必要となります。この手数料が、マイナーへの報酬として支払われるのです。
たとえば、ビットコインやイーサリアムが採用しているPOW(Proof of Works)という承認アルゴリズムだと、高額の報酬があるものから先に承認されていくことになります。
これが仮想通貨送金における別の問題を生み出している原因のひとつとなっていますが、これについては後ほど詳しく説明します。
カネット
秘密鍵は、銀行でいう暗証番号のようなモノ。だから、どんなことがあっても他人に教えたり、入力しないようニネ!第三者に知られると資産を失うことにナルヨ!
サトシくん
銀行でも、相手の口座番号さえあれば送金できるもんね。口座番号がアドレスで、暗証番号が秘密鍵ってことか。
仮想通貨送金のメリット
仮想通貨送金のメリットとしては、地域・国に関係なく短時間で可能ということが挙げられます。また、銀行などよりも低コストというのも、メリットと言っていいですね。
地域・国に関係なく短時間で送金できる
法定通貨の場合、海外送金は銀行を通して行います。このときに、送金元の国の銀行と、送金先の国の銀行の2つを通すことになります。
送金を行ってから反映されるまでにかかる時間は、おおむね1週間ほど。ただ、現地の銀行の状況によっては、さらに遅れるという事態もあり得ます。
また、東南アジアのように銀行口座を持っていない人が7割を超えているケースもあります。この場合には銀行による送金は不可能で、さらに時間がかかる現金書留を利用するしかありません。
これに対して仮想通貨ならば、早ければ数秒、遅くても数時間あれば送金可能です。銀行口座を持っていない人でも、ウォレットを開設していれば送金可能です。
つまり、地域や国に関係なく短時間で送金できるのが仮想通貨のメリットなのです。
低コストで海外へ送金できる
意外と知らない人も多いのですが、銀行の海外送金手数料はかなり高くつきます。数千円、場合によっては1万円を超える金額となることもあります。
これに対して、仮想通貨の送金手数料は非常にリーズナブル。たとえばビットフライヤーの場合、以下のようになっています。(2018年9月下旬現在の価格相場から算出。円換算は上3桁を四捨五入)
手数料 | 円換算 | |
---|---|---|
ビットコイン | 0.0004BTC | 300円 |
ビットコインキャッシュ | 0.0002BCH | 12円 |
イーサリアム | 0.005ETH | 130円 |
イーサリアムクラシック | 0.005ETC | 6.4円 |
ライトコイン | 0.001LTC | 6.9円 |
モナコイン | 無料 | 無料 |
リスク | 0.1LSK | 38円 |
一番高いビットコインで300円ですから、銀行の送金手数料と比較するとかなり割安なことが分かりますよね。
カネット
仮想通貨のメリットとして、送金手数料が安いことが挙げられル。海外送金の場合には特にその差が大きく現れるヨ!
サトシくん
法定通貨だと銀行が間に入るもんね。銀行の利益として手数料がかかるのが当然だと思ってたけど、中央集権ではない仮想通貨なら、マイナーへの報酬だけで送金できちゃうんだ!
仮想通貨送金のデメリット・注意点
ただ、仮想通貨の送金には、アドレスを間違えると仮想通貨が取り戻せなくなる可能性があるので、注意が必要になってきます。
また、ビットコインやイーサリアムは承認件数の増大に伴い、送金時間や手数料が増大しており、今後の課題のひとつとなっています。
アドレスを間違えると取り戻せない
上でも少し触れましたが、ビットコインの場合、ランダムに27~34桁の英数字を送金先アドレスに入力しても、送金手続き自体は行えます。そして、公開鍵がないため受取人も存在しません。
これは、間違ったビットコインアドレスを入力した場合、あて先のない送金が行われたうえ誰も取り出せない、つまりビットコインが「消失」してしまうことになるのです。
この点については、どの仮想通貨も基本的に同じです。しかも、こうした送金ミスを行った場合、基本的に自己責任で対処しなければなりません。つまり、この仮想通貨は取り戻せないのです、
ビットコインの送金時間・手数料の拡大
ビットコインのように取引や送金の量が増えてくると、承認作業が大幅に増加し、承認そのものに時間がかかるようになってしまいます。
イーサリアムでも同様のことが起きています。イーサリアムの場合、取引や送金だけでなく、契約実行を自動化するスマートコントラクトの承認も必要なので、より承認作業が増えやすい状態です。
こうなると、普通に送金したのではなかなか相手方に反映されません。結果として、送金スピードが速いという仮想通貨のメリットが損なわれてしまいます。
これはPOW(Proof of Works)というビットコインやイーサリアムの承認アルゴリズムも原因のひとつです。POWは報酬、つまり手数料を高く設定した取引から承認され、手数料の安い送金などは後回しになるからです。
送金スピードを上げるためには、追加手数料を払うという方法があります。ただ、この場合は手数料が安いという仮想通貨のメリットが損なわれるので、難しいところです。
企業間の送金に使われることを目的としているリップルは、送金スピードが速くなるシステムを採用していますが、別の仮想通貨からリップルに交換する手数料がかかります。
ビットコインとイーサリアムはこの問題解決に動いていますが、ビットコインのライトニングネットワークの採用、イーサリアムのPOS(Proof of Stake)への移行など、抜本的に問題を解消するまでにはまだ時間がかかりそうなのが現状です。
カネット
送金の際に絶対に気を付けてほしいのが「アドレスの入力ミス」だヨ!アドレスを間違えるとどこに送ったのかわからないし、取り戻すこともできナイ。
モナちゃん
仮想通貨が文字通り消えてしまうってことね。銀行なら間違いを取り消してお金を戻すこともできるけど、これが非中央主権のデメリットでもあるわね。
サトシくん
せっかく増やした仮想通貨が一瞬でなくなるなんて、怖いなぁ。アドレスは手入力じゃなくて、コピペで入力するようにしないと!
仮想通貨は素早く送金可能!ただしアドレス間違いには注意しよう!(まとめ)
とはいえ、現時点では仮想通貨の方が、銀行よりも素早く、かつ安く送金を行うことが可能です。銀行が仮想通貨に注目しているのも、このメリットがあるからです。
ただ、送金アドレスを間違えると仮想通貨が取り戻せなくなるので注意しなければいけません。送金に当たってはミスがないよう、細心の注意を払いましょう。